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19日に上行結腸がんから併発した肺炎のため死去した俳優、原田芳雄さん(享年71)の葬儀・告別式が22日、東京・青山葬儀所で営まれた。芸能関係者のほかファンも200人以上が献花に訪れた。映画のスクリーンを模した祭壇は6000本の白い花に包まれ、2009年に撮影した写真が遺影として飾られた。ブルース歌手としての活躍も称え、ギターやマイクスタンドが供えられた。

 弔辞を捧げたのはATG映画時代からの盟友、石橋蓮司(69)。映画でいつも原田さんと丁々発止やり合っていたアドリブ仕立ての弔辞が、参列者からいっそうの涙を誘っていた。弔辞は次の通り。

 原田芳雄に向かって自分が弔辞を言う、こんな馬鹿げた、悪ふざけはあるだろうか。弔辞という文字も正確に書けなかったし、弔辞とは、故人の業績をたたえ人に伝えるとあった。いま、芳雄の業績なんか称えたくないし人に伝えなくていい。ただただ、ただただ、おまえが今ここにいてくれればいい。おまえが今ここにいて「これは冗談だ」と言ってほしい。それが芳雄、俺たち仲間に対しての最大の業績だよ。

 ほらみろ。破たんしてしまったじゃないか。おまえが悪い。じゃあ、こうしよう。これは、映画の一場面として、アドリブで、何か、しゃべってみる。

 芳雄、おまえと一緒にやった映画、全部うまくいったな。そして、最新作「 大鹿村 騒動記」、あの2週間、おまえが病魔と闘いながら作品に挑む姿は感動的だったし、凄味さえ感じたよ。あの映画の原案が芳雄だと聞いて、台本を読んだとき、正直おれにはよく分からなかった。なぜ芳雄がそこにこだわるのか。なぜ、そこまでこだわるのか。よく理解できなかった。でも、完成試写を見たとき、なにか、心が震えるのを感じたよ。今も感じている。

 あの2カ月後、日本が未曾有の大災害に襲われ多くの村々が壊滅的打撃を受けてしまった。そして今、その各村々の方々は一緒に手を取り合って過酷な環境の中、苛烈な現実を乗り越えようと一生懸命、頑張っている。

 その力の源は何なのか、どうしてそうできるのか。この映画で、その源の一端をほんのささやかでも提示できたのではないだろうか。

 このように原田芳雄は直感力が鋭く動物的カンと言ってもいい。いつも、人の心の活断層のきしみをだれより早く聞き取り、そして予感し、具体的な作品に興して見事に具体化してみせたよな。

 芳雄、おまえの力と身体は、まだまだ今も映画界に必要だよ。おまえが、次回作、どんなことをやりたかったのか、どんな声を聞き分けていたのか、何を予感していたのか、これから家族の方々に教わって具体的な映画になれるよう、俺も含めて一生懸命頑張ってみるつもりだ。具体的になったらば、すぐに報告に行くから、それまで、すこし、ほんのちょっとだけ、休んでてくれ。

 また破たんしそうだからこれでやめる。芳雄、だらしなくてごめん。
 
 
父の葬儀の際、親族を代表して挨拶をした日のことを思い出すが、私はまだ弔辞を読んだことはない。随分と以前のことだが、「おまえの葬儀委員長は俺がやってやるから心配するな」と冗談を言ったことはあるが、現実に今、そのような相手はいない。
「人間は葬儀のとき、何人の人から“ありがとう”と言われるかでその人の人柄・品格が証明される」と話したある会社社長の言葉も浮かんできた。
 
人は皆、いつの日にか死を迎えその姿を消すことになる。弔辞を読む相手がいる人は、心の通い合った人物がいたという証に違いない。葬儀という悲しい儀式であっても、その中で人の心を打ち考えさせられることも多い。歳を重ねていくうちに、こんなことも考えるようになったが、移住生活で新しい人生を生きている中で、意気投合でき、心ときめく人に出会えている幸せを噛みしめている。